創作に人生さきとう思うんだ

二次創作ばっかしていたい。

2023-01-01から1年間の記事一覧

武装

妹は猫を飼いたがっていた。小学生の児童が、親に口約束をきいて、ペットを許されるのと寸分違わぬ流れで、妹は猫を家へ招き入れた。妹は小学生だった。例えにもなっていない。 俺はその時は高校生だった。己の生命を哲学し始めた時分だった。生命の温もりが…

道程開示

人に読ませられるだけの解読可能を持たせられるか不安はありますが、なるたけそれが叶うように調度して書くつもりです。 地平線が見たいような、そんな気持ちです。地球の形を漠と感じたいのかもしれない。案山子のように足を地面に生え忍ばせて、ぐったりす…

暴的定義

僕が言ったことがそんなに面白かったらしい。所詮小学生程度の性知識しか持っていないのだろう。抱腹絶倒の姿を睥睨する。目尻を拭って、余韻冷めやらぬといった様子で息切れを起こし、絶え絶えにコメントを寄越してくれる。 ちゃんと想像してみたか? との…

カテゴリー一覧

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恋愛小説

恨むなら、私の人生に登場したことを。私が望むと望まぬとに関わらず私の前に現れ出た自分の人生の筋道を。交差して離れなかった互いの人生の絡まりを。恨むなら、それらを恨め。 私は体術など会得していない。きっと相手の方が自分の体の動かし方には詳しい…

ギャグの如き人生

俺は喜び多き人生にしたい。誰のものも、自分のも。 「兄さあ、自分が人間嫌いってこと自覚してるの」 下の妹の指摘に家族みんなが揃って笑声を上げる。俺も釣られて苦笑いになる。はは、は…。 「理由はある…俺は」 「自称ヒーローのおとぼけメンヘラ」 …と…

第一歩

自分は背伸びをしていたのじゃないか、と疑う。常に冷静でいるつもりなのに、いつの間にやら冷静と遠く離れて奇行を発している、なんてこと。私はごく真剣に取り組んでいるのだが、私のある瞬間、ある行動ひとつを切り取ると、奇行としか判じ得ない姿態を晒…

偽悪

騙そうとして言ったことではなかった。そこに故意はなかった。悪意のありようはない、勘違いがすべてだった。私の過失が結果的に嘘の発言を導き、それを周囲に認知させたことは悔いても改められない。吐き気がしてきた。消せるものなら過去に戻って事実を正…

大人

これは寓話。「大人」 少年が大人の腰を越すか越さないかの背丈の頃。少年はよく笑った。周りの大人らはその笑顔を鏡に反射するように柔らかく少年に接し、少年はそれに応えてさらに深く微笑んだ。 少年は身近な愛情を感じ取る力に疎かった。当たり前への感…

挑戦と後悔

庭に出た。日が陰りはじめて空気も大分暑さが和らいだ。特に何を思うわけでもなく、気の向くままに足を伸ばした。コンクリート塀の向こうに畑用地がある。今夏は気張って耕してみたが、暑さに負けて水やりを放棄してからはその有様を見ていなかった。自分の…

落ち葉踏む森

僕は汗をぼたぼた流して走っていた。夏休みが明けて、九月。夏の盛りは過ぎたけれど、日中はまだまだ暑い。体を動かせば、なおさらのこと。すぐにカッターシャツが肌に張り付く。教科書やノートを詰めた学生鞄を背負った背中は蒸し暑く、その重量感もあって…

書き損じ

viorenisist 音楽室にこもりがちだというのは、その学校に通う者ならばみな知っている噂だった。あまりに侵蝕が激しく、新入生もひとつき経てば、噂拡散の媒介人の趣を身に付けてしまうくらいであった。誰も、その噂を広めることに躊躇しなかったが、では何…

生々

前置きしておきたくなるくらいには、センシティブな表現があります。自分の書いた小説の中で群を抜いているいかがわしさ。 ーー 中学の同窓会があった。参加に印を付けて返信はがきを出した。ちょっといいホテルを借りてあって、豪勢な雰囲気でビュッフェ形…

怒り

とことん利己に向かっていいのなら、私は猫になりたい。飼い猫に。去勢だの避妊だの、有性の理から逸脱した存在へ変化できる手術を受けられる、猫になりたい。 この点が満たされるのなら、犬でもいい。 ならば私は被支配されれば叶うのか?それが私のプライ…

身体損壊現象

眼が痒いなと思って指の背で掻いていたら目玉が取れた。親指の第一関節で目頭を押さえたときだった。ずる、と指が滑って、代わりに目尻から溢れるものがあった。初めは涙だろうと思った。涙にしては量が多いと感じたが、日頃パソコン画面の見すぎで眼精疲労…

花火

今夜は花火の上がる日だった。僕は努めて冷静であることを何度も自分にいい聞かせ、階段を踏みしめた。階段を登る足音、ドアノブを下げる力加減、ドアを開ける勢い、閉じるときの音、ドアノブからの手の離し方、すべてに意識を払って、冷静を装う。 外は喧し…

プロットならばキャラクター造形要らないとの論調で勇み足。暴論だろ、いいんだ私はやってて楽しさを感じた。 唐突に理解する。私は弁当の蓋を再び閉じ、目を閉じる。冷静に考える必要がある。ここで焦って水筒の麦茶を飲めば相手の思う壺なのだ。お陀仏なん…

イントロ

ベタな設定デスゲームのプロット風小説。キャラクター全く作る気ないからプロットの域を出ない。 「ありがとうございます。集まっていただき感謝します」 スピーカーから音声が流れる。同じ空間に集合した全員が円卓を囲んで着席したところだった。学校に備…

差す日の中で

無遠慮に飛んできた液体が頬を濡らすので、私はやおら頭を振り、僅かに纏いついた眠気を払う。指で液体を拭うと、それは皮膚表面でさっと乾燥して、染みになった。暗い青色をしている。 「…インク飛ばすなよ」 「あ?」 険悪な眼光だ。こいつは機嫌が悪いと…

粗末な!

赤レンガの柱の陰だった。赤褐色の長方形が計算されたズレを重ねて高く積み上がる走馬燈。まあ嘘だけど。死んでいないし、死にかけてもいない。 暑さ寒さも彼岸までと何時ぞやの昔には言ったらしいが、本日、8月21日は絶好調に熱く、最高気温は37℃、体感温度…

小説じゃあねえ

効いているのでしょうか。これ、一年以上になりますが、今後もこのままだとするならば、却って私を害すると思うのです。損なわれる私が見たいのですか。そういう癖であるならば、早急に認めてしまえばいい。私は誰かの嫌がらせを受けていて、それを拒む正当…

肥大エゴ告解

不満なき生など謳歌するに足らぬ欠陥品なのだ。不満のあることを褒めよ、誇れよ、昂じ商えよ。 いやになっているのです。嫌なのです。嫌気が堪りません。じりじりとしながらスマホの熱くなるまでネットをサーフィン、どうでもいいと判明した概念のBLをいくつ…

イヤホン

なにかL月を書きたいのだが。 「…こういうオチですか」 「お決まりの展開でつまらなかっただろ、気が済んだならさっさと」 私は夜神月の双眸を見据えた。どうやらこうされると少し弱るらしい。負けず嫌いの夜神月だから、毎回懲りずににらめっこの様相を呈し…

前夜

自分には、なにかを育てることへの責任を持つ実感がない。そういう実感を、持てないとでもいおうか。下の兄弟に対して、自分の一動により学業の成績に始まり当人の人格形成をも包括する介入をしようと思ったことは無いし、したくないし、それに、悲観的にい…

悪用

家人は盆の墓参りで留守にしています。人気のない部屋で、文具や家具が囁き始めました。今回は事務机とその発言に反応した一連の会話を拾ってみましょう。なにやら憤怒しているようです。 「あらゆる物が、悪用の可能性を孕んでいる」 「でも正義の下での悪…

不埒

家族の成り立ちに思いを馳せてしまった。こんなことは今までに一度も経験がない。自分の死に方を探すのに熱心だったから、漏れなく他人を含めて構成する家族というものに、熟考の手が及んでいなかったのだ。 初めての試み、いってみようじゃないか。反出生主…

書き損じ

パソコンがスリープモードになっているときの、たまに吐く呼吸音が耳に付いて離れない。

黙談

初めて話をしたときから、ずっと言うに言えなくて今日まで問題視していたことがある。それを相手方も前々から気に病んでいたらしく、ついに口を切った。立場からすれば、こちらから提案するべきだったことだと思うのだが、既に向こうが話し始めている。ここ…

俯瞰

おい、お前なんでひとりで帰って来てるんだよ、と焦った声を出すので、その原因を探して視線を動かすと、玄関口に、ぽつんと居るものがある。せっかく和やかにトランプでもやれそうな空気だったところを壊してくれた玄関のものは、自分が何をしでかしたのか…

エアコン

日が暮れて2時間経つまで匿ってくれませんかと言いながら、靴を脱ぎ、さりげなく母さんに挨拶を済ませて、僕の部屋へ向かう階段を上る躊躇のなさが、人間性を疑うには十分に足る具体例だと思う。これをやっている本人に訴えてもどうしようもないことは初めの…