創作に人生さきとう思うんだ

二次創作ばっかしていたい。

黙談

初めて話をしたときから、ずっと言うに言えなくて今日まで問題視していたことがある。それを相手方も前々から気に病んでいたらしく、ついに口を切った。立場からすれば、こちらから提案するべきだったことだと思うのだが、既に向こうが話し始めている。ここで私が「この先は私が引き継ぎます」などと言って強引に主導権を握るべきではないだろう。あまりに相手を軽んじている。

発声するのが苦手だから、できれば筆談がいいと言って、相手は私の答えを伺う姿勢に入った。今日も文末の声は掠れ、吐息に言葉の形を与えたに過ぎないような小さな声が混じる。

「では筆談にしましょう」

席を立ち、筆記用具を探しているのだろう後姿を見送る。一人残された部屋の中で、天井を仰ぐ。

自分の声を、相手はどれほど聞き取りづらく思っていたのだろう。その感覚が明確にイメージできない。その声を聞くのに集中を要する場合を、滅多に経験していない。これまでに関わった人間の種類が偏っているのだろう。圧倒的に、自分を導く側に立つ人間との関りが多かった。自分と同種の人間の声は、きっと遥かに聞き取りづらいだろう。

「これに書いてもらうということで、いいですか?」

「あ、あの」

お互いに筆談とか、できませんか。言葉はたしかに、声になった。裏返り、呼吸に飲まれ、つかえたそれでも、その意を相手にぶつけるには効果があった。交換日記みたいに? と尋ねる声に、俯いた頭が何度も縦に揺れた。

「交換日記みたいに」

その日を始めにして、交換日記を交わしている。

 

解説:というより不満。

自分、世界観まったく感じられない作品ばっかじゃねえですか、人間が登場するとはじめから無い世界観がより考えづらいものになってしまう感がある。犬の散歩リードの話の方が世界観の点ではユニークさがあったと。