創作に人生さきとう思うんだ

二次創作ばっかしていたい。

今年は計100本の小説を書くと決めたので。

 

どん、と鈍い衝突音がした。二階で家具でも倒した音かと思っていたが、次第に後頭部に痛みが現れた。寝ぼけていた思考が回りだし、床に打ち付けた部分に手を遣ることを思いつく。今の音はこれか。指先で触れた患部が痛んだ。既に膨らんでいる。

不格好に高さのあるベッドから降りる。自分の腰程の高さにある天板の上に転んで寝るので、ここから落ち続ければいずれ頚椎を損傷して一巻の終わり、なんて日が来そうな気がする。運試しになるからいいじゃないか、と楽観主義じみた享楽を晒した発言が脳内で聞こえた。何も良いところが見当たらない。自分のではない声だった。或いは、自分の把握していない自分か。どちらにしても他人なので、まあ悪趣味な運試しに今日も好成績を出したということでベッドから離れた。腹に何か入れておこうと思う。

 

「子どもには飯を食わせる義務があるって言った人がいたんだ。本人もそう言いながら、本質が見えていないような顔をしていた」

「顔真似うまいね」

「思ってないこと言わなくていい」

高架下だった。いつも日陰になっている。呼吸が落ち着いてきたケイの人差し指の下を、黒いインクが伝っている。梯子に登って描くのだろうと思う。存在の証明。ケイは自分の顎に流れた汗を拭った。

まだ動かなくてはならない。

「で、その人に、飯を食わせてもらった、わけ?」

「お前荒い口調似合わないな」

「お前は思ったことを全部言うよな。…話が進まないんだよ」

「……うん」

気付けば草地をふたりで走っていた。なぜアスファルトから外れてしまったのか、草の刃に切られながら前へ進んだ。俺の方が身体一つ分前にいた。横目で振り返る。居る。まだはぐれていない。

速度を落とした。横に並んだ。知らない記憶が、学校で教わる道徳観のように我が物顔で鎮座する。苦かった。バランスを取りづらいと感じながら、腕を伸ばした。借り物の正義を翳してエゴを満たしていると感じた。それでもいいと思った。人の為のふりをしてエゴの為に伸ばす手は、最高に人間の匂いがするだろう。チェンソーで切り落さねば蔓延する毒だ。同時に、俺とケイに甘美をもたらすそれは、俺がケイの腕を掴んだので、或いはケイが俺の手を取ったので、繋いだ箇所から駆けるセロトニンとなって広がった。甘かった。

ごめんな、偽善者だ。

「君が、飯を、食わせてくれる、って、話?」

「そう出来たら、いいなっていう、」

願望!

二人分の声が重なる。手を繋いだまま、走り続けながら、苦しくなってきた呼吸と、棒のようになりそうな脚、それから手汗。半分は自分のものだろう。熱かった。

 

また落ちた。今度は背中から床に当たった。肩甲骨の辺りがずきずきする。

「…」

変な時間に目が覚めてしまった。夜だ。もう一度寝た方がいい。しかしすんなりと寝付けそうな気がしなかったので、考える。何をして睡魔を待とう。灯りが無くても出来ることがいい。

低い天井を無意識に睨んだ。闇から超音波に似た音が漏れてくる錯覚。耳を押さえる。

…なら、あれか。窓枠のシルエットを目でなぞった。

 

 

すばらしきこのせかい実況完走記念(適当記念日)。夢の方が冴えていることを示唆してみたかったが、甘えでも直に書き込めばよかったか…? 否、書きたいことを書かない奥ゆかしさだわ。