創作に人生さきとう思うんだ

二次創作ばっかしていたい。

酢飯

どんな変換機を使っているのか、思わず問いたくなる。発作的に生じた一念を、やはり下らないと思い直して切り刻む。今考えたことは、無しで。絵文字がやたらと散りばめられた文面の生成過程など、突き詰めれば味のしないガムと同じ、食えないものではないか。

ここまでを思って、私は口を歪ませた。笑みとも取れる表情になった。

こたつの中から見ていた奴が目を光らせて喋り出す。今不細工な顔をしていると態々指摘してくださったので、こたつ布団を捲って足蹴にした。ほんの小さな体躯は私の足の裏より一回り大きいほどなので、足の裏全体を使って体の横っ面を捉えれば、強かに吹っ飛んだ。いい足応えだった。

黄色い虹彩をギラギラとさせ、私を睨んでいるらしい。壁に寄り添って体制を立て直している様子のそいつが、言葉無く私を見ている。

「怖くねえから」

ハンと鼻を鳴らした。そうだ、ITパスポートの試験勉強を進めなければ。ここからがスタートなのだから。まずは一つ、証明を手に入れる。ポケモンでいうところの初めのジムへ挑むのだ。三センチを超す厚みの問題集を片手で捲る。前回の続きは、と…

ガシン、と何かが衝突し破損するときに聞こえるような音、そして私は問題集を床に取り落としている。視界が自分の背より高い。それから後頭部が痛い。

「…はいはい、ブチギレにゃんこね」

「飯抜きにしたら許さない」

「一言も言ってな…グ……」

前に冗談半分で夕飯抜きを脅迫材料にしたことを根に持っている。空腹で苦しむのが嫌らしい。しかし私は気道が確保出来ずに苦しい。壁に画鋲で留められた画用紙みたいになっているのだ。動けない。

そんな緊迫した場面に闖入者が現れた。彼女はややとまず叫んだ。随分古めかしい語彙だと思った。

「何やっとんだ? 今晩はちらし寿司でっせ旦那。楽しみ。米!」

律儀に戸を閉めて立ち去った。その後、呆然としたことにじわじわと怒りを募らせた奴にもう暫くしつこめに酸素の供給を止められ、漸く解放された私は茫然として壁に手を付いた。夕飯は手巻き寿司だった。彼女が自作の海苔巻きとにらめっこをしている。

「…見るな。飯食えよ」

「命令するな」

未だに激情を宿しているのか、黄色い双眸が輝いている。あれは今夜中気が抜けないな…。