創作に人生さきとう思うんだ

二次創作ばっかしていたい。

自分の傷か、他人の傷かというくらいの違いだよ。尤も傷を負った他人を、貴方は他人と思わない可能性が高いから、どっちにしても痛いのだ。

 

 

Aメロだけを聞きたい曲がある。サビ前が脳裏に染み付いてノイローゼの予感に戦慄するだけの周回を。刻み付けたい旋律を。

 

橙に灯る電球を貰った。電球を貰ったといっても、ソケットにも取り付けていない剥き出しを貰ったのではない。コードの伸びる鉄製のずんとした足が生えている。頭には傘を被っている。私は傘越しの電球の顔を想像で補う。

 

今日は雨が僅かに降った。湿った世界を歩く。浮かれついて森へ足を踏み入れていた。街を、駅ビルを、病院を、どこを歩いてもきょろきょろしてしまう癖を森でも変わらずに発揮する。深黒い緑がいつか死んだ私の体を包んで素粒子に変えてくれるだろう。待ち遠しいです、とても。

 

こたつテーブルに足を突っ込み前傾で橙の手元を見つめる私の前を、キジトラ模様が通過する。存在の顕示、私の額に横腹を擦って抜けていく。何を求めて鳴いているのか、猫の言葉を調べようとしたこともない。目的の知らない鳴音を、右から左へ聞き流す。あまつさえイヤホンで耳穴を潰し電子音を注ぎ込む。はあ。猫があっちで高い喉を鳴らしている。愛玩で停止した定義の檻に閉じ込められたのは、誰か。私は何を支配した気になっている? 軽蔑対象の慈愛について、猫について、ペットについて。

 

あははははははは。ははははは、と、小汚い声の譜が音を紡ぎ、これを笑いというのだよねと自問自答する想像。静かに口許を手で覆い、くすりとやってみたがうっかり目から体液が溢れそうになった。飼い殺し。叫ばし、質し、爛れ明し。そういう宝探し。

勿論、見つけたから相応の施しをしたのだ。私は土をかけて、水をかけて、地球の皮膚の極めて端の上澄みのようなところで、企んでいるところだ。あれば大切にせずにおれない足枷と呼ぶものを、ならば壊れてしまわぬように。抱いて走るからそうなる。

 

Aメロだけを繰り返して生きているのか? まさか。面白い発想だね、小説を書いてみたらいいんじゃないか。素材ならそこらに窒息するほど転がっているし。