創作に人生さきとう思うんだ

二次創作ばっかしていたい。

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

切にしね

消し去ろう、取り除こう。真っさらに戻して、今度は後ろめたい心の宿らない道を。 私はあのとき、表現方法を見誤ったのだ。そうだ、それ以外に、この悔悟の理由を付けられない。見つからない。知らぬ間に流され、運ばれてしまったが運の尽き、慣性だけでここ…

いざ、夏

「夏はきらいです」 まだ6月だぞ、と念を込めて睥睨する。はじめはベンチに居たのに、さかさかと移動して現在は木陰に隠れて座っている。夜神月はそれに釣られて日陰に収まったが、なぜ行動を共にしているのかというと見張りの意味合いが強い。見張り、それ…

容易いの、か

小田はシャーペンのグリップの所を摘んでペン先を遊ばせている。ノートを片手に、何か考えているのかと思ったが、違った。日記と、アイデア帳と、落書帳と、原稿用紙を兼ねる(なんでも帳と呼ぶべきだろう)大学ノートは、今日の日付以下、白紙である。 地上よ…

キック

ある時まで、引力を振り切ったように飛んでいたロケットは、否応なく地面に墜落したんだ。 言いかけては無声音の言葉を喉の奥へ引っ込める、それを何度見ただろう。この仕草をするときの宮本は何かを相談しにきていて、ひとつ目の悩みに回答を与えられた後と…

降臨

病院からの帰りだった。はじめの横断歩道を渡り、右手に医療機関の大きなガラスを見て歩く。区切られた植え込みの向こうのガラスは何枚も横に連なり、人を閉じ込めている。 中に居ることを何とも思っていない様子であることに眉を歪めてしまうが、ここに収容…

雨音

目が覚めてしまいました。半開きの窓から、雨が絶えず降り落ちる音が入ってきますが、それに耳が冴えたわけではありません。自然界の音というのは耳障りではなく、寧ろ集中して聞き取ろうとするほどに遠くへ霞んでいく掴めなさがあると思います。自動車や電…

××、箱を手慣れた手つきで開けたのち、そっと作った隙間から視線と声を滑り込ませて元の通りに箱を閉じ、極めて静かに気遣うように留め金を掛ける。 なにも思いつかなかった。声を掛ける難しさ。あらかじめ用意しておいた出来合いの言葉を、感情の込め方を忘…

明日は山へ行こうと思う。玄関から正面の、黒い緑の塊の。 そう、人間から離れたいだけ。山を、それを構成する一本一本の植物を見て恍惚を覚えるためではないし、その環境に必ずいる虫というやつは触れないくらいには苦手だ。山が好きだから行くのでは、ない…

神を求めることへの自戒

神はいません、自分の内側だけに煌々と照り渡る神、いません。それが心に宿らないこと、神格の有さないことは否ではありません。あなたは何も悪くない。悪くない。悪くない。悪くない。日常に空疎を感じる理由をこれに求めるのを誤っていると指摘したい、そ…