創作に人生さきとう思うんだ

二次創作ばっかしていたい。

俯瞰

おい、お前なんでひとりで帰って来てるんだよ、と焦った声を出すので、その原因を探して視線を動かすと、玄関口に、ぽつんと居るものがある。せっかく和やかにトランプでもやれそうな空気だったところを壊してくれた玄関のものは、自分が何をしでかしたのか理解できていないらしい。犬と戯れていたから暇になって帰ってきたのだという旨を相変わらずの要領を得ない話し方で聞かせた。こいつは、なんか、なんか、と繰り返すばかりでちっとも内容に濃度が足りない。放つ言葉の半分は中身がない。なんかなんかとうるさい。

「それが理由になるわけないだろ」

玄関に居たこいつにいち早く気が付いた奴が追い打ちをかける。手元の星の砂の入った小瓶(修学旅行の沖縄土産である)を支えにして体の重心を絶えず動かしながら威圧していく。そうだ、言っておかねばなるまい、小瓶にもたれているそいつも沖縄土産であり、姿は獣、素材はおそらく粘土などの土、たてがみにピンクの塗料で着色してある。自分からみればこの威圧はままごとじみているが、通用してしまう相手がいるのだから仕方がない。

「今すぐてめーの犬連れて帰ってこい!」

「ひっ」

かちゃかちゃと忙しない音を立てて、リードは玄関を飛び出した。まっすぐに置いてきた犬の元へ向かうだろう。ピンク髪の獣はつまらなそうに鼻を鳴らして、ブリキのロボットをつつき出した。ゼンマイが無い。ネジを巻けないから動かないそれを無心の表情でつついている。自分はそれを見下ろしている。