色松
スピーカーから波動する音が耳に刺さって痛い。高低で色を変えて、それはつまり耳を突き刺す角度を変えて、俺の感覚を過度に不躾に刺激した。観覧車の列に並ぶあいつらを横目に、小さな木陰で腰を下ろす。観覧車なんてどうでもいいし、遊園地自体がどうだっ…
スーパー銭湯に通い詰めるわけにもいかない。親から出費の肩代わりを受けるとはいえ、たまには遠慮の姿勢を見せねば気まずい思いを味わうシチュエーションが幾度とやって来る。 例えばブランチを嗜もうと冷蔵庫の有り合わせを腹の足しにした際。既に胃袋に収…
2022/9/19 一松は地上を見下ろしていた。切れ切れの雲が時折覗かせる、生き物を観察するためだった。一松は神の地位にいる。だからカメラなどなくとも細かい物や事が見える。顕微鏡やルーペも必要ない。 皆色々に異なった格好をしているが、揃って気取る点は…
ガードレールの脇を歩く。雨粒の跡が残り黒く汚れたガードレールの向こうには川が流れている。 「じゃんけんおばさんっていたよな」 「目が合った小学生にバトルを挑むとかいう…」 それはポケモンだろ、とカラ松が笑い声を上げる。一松も釣られて僅かに口角…
私には一カラかカラ一かを決められないので、以後腐る要素が含まれるネタは「色松の腐」な表記でいきます
夏だから、誰も彼も頭が少しいかれてしまうのかもしれない。いや、いつも狂ってるやつもいるか。 チョロ松は普段と変わらず、誰に対するものなのか不明な意識の高さ見せつけ行為に勤しんでいた。開く雑誌。中身は求人情報。月給の高いところを、と選り好みが…
ちょっととんとん拍子過ぎて話に付いていくのが大変かもしれない。
白い粉を全部「例のブツ」と呼んで料理するのが楽しいのだ。私は妹とやっている。
4コマ目にて、初めて「腹立つ」という感情とともに創作する経験をしました。
今日複数名と同じ空間で数時間過ごしたことで行動を制限された結果、精神的ストレスが問題を起こし、犯罪者予備軍チックなものが生み出されることになりました。それが以下の文。私が書きたいのはこういうんじゃないんだけど、書いたものは書いたものに違い…
sakito-one.hatenablog.com
「うわ」 チョロ松は居間に照明が点いていないので誰もいないのだと思い、スイッチをオンの方へ押した。誰もいないと思われたそこには、ちゃぶ台に神妙に着席し、もそもそと目玉焼きを食べている一松と、それをありえないほどガン見しているカラ松がいた。……
「...ベーシックインカムってのが日本で実装されたらいいよねって」 トド松が言ってた。真っ黒な目をして、なぞに遠くを見ながら、ぼんやり、といった風に言う。そんな一松をちらりと見遣るおそ松。ちゃぶ台の脇に寝転がっている彼は、肘を立て、手に頭を乗…
「双子座のあなたの今日のラッキーカラーは―」 テレビ画面に映るのは長い髪を真っ直ぐ伸ばした女性。毛が茶色なのは恐らく染めているからだろう。似合っていると思う。いいセンスをしているぜ、カラ松ガール。 「へぇ、紫かぁ」 隣でトド松が言う。朝のニュ…
2021年8月10日のpixivのお題、「手でハート」 ―― 家は静まり返っていた。面々は出払ったらしい。朝食のあと、何もすることがなかったので2階で一眠りしていれば、この通り、更なる退屈へと直面した。まだ正午まで時間があり、空腹を感じてはいないので、適当…
簡単にカラ一か一カラになり得る色松。一応色松のつもりで書いたんだ。 おそ松兄さん視点多いです。 ―― ここ数日、一松の様子が普段と違う。 初めにそれを俺に知らせたのは十四松だった。ひっそりと耳打ちで伝えられたから、十四松がこの件を重大に捉えてい…
限りなく色松に近いカラ一カラな感じでどうぞ ―― 「俺が来たぜ、ブラザー」 無意味に等しいにも関わらず、カッコつけた声で現れたのはカラ松だ。俺は逆光になっているそいつの影をちらりと見、すぐに手元に目線を戻した。手の平から伝わる猫の体温。幾度か背…