ヒルセナって心中しねーし昼夜逆転もしてないし一生きらきら青春 時代送ってそうだから自分とのギャップで書きづれえな…。 出不精の、不眠の気配に、怠惰と、軽薄に、悩んでいる私には。 花を送ろうと思い立って、やめるなんてことはしないんだろうな。
部室で制服に着替えているときだった。 シャツのボタンを上から留めているところへ、 音もなくやって来た。僕の靴の横にぴたりと沿わされた別の靴。 僕のよりサイズが大きい。その靴の主が、 僕の履いている靴越しにわかるように足の側面を押してくる。 ぐーっと、その間二秒に満たない。それからすぐに、 自分のロッカーへ向かうため、靴は離れて行った。
校門を出て四本目の電柱に、背を預けて待っている姿を捉える。 銃火器ではち切れんばかりの学生鞄と、 そこに収まり切らなかったのか、肩にも一丁乗せている。今日も、 遅え、とぼやかれる。以前、すみませんと応えたら舌打ちされ、 焦りつつもなんとか言い直した言葉が定着した。 しかし申し訳無さを表現するにはこの言葉だけでは足りないように 思うので、いつも深めのお辞儀も加えている。
「お待たせしました」
共に歩く。僕はこの人の家を知らないので、 本当に僕と同じ方角へ向かうのが家への道なのか疑問なのだが、 まだ何も訊けていない。少し肌寒い。 部活終わりだからと防寒具は一切身に付けていなかった。 横に抱えていたコートを羽織る。 ほっとひと息吐いたタイミングで、思わず目が合ってしまう。 僕は反対側に視線を泳がせた。これは、気まずい。
沈黙がのしかかっていると感じていたのは僕だけだったのか、 しばらく何も言えないでいた状態から持ち直して、 ヒル魔さんを伺うと、なんと口角を上げている。ように見える。 楽しんでいる…? 余裕綽々の素振りに愕然とする。僕がひとりであたふたするのを、 全部読み切ってほくそ笑んでいたのか。また。 なんだか釈然としないが、 上手い文句も思い付かないので黙っていた。そのとき、 頬を膨らませていたような気は、する。 ヒル魔さんは僕の顔を見て、まじまじと見て、 にやりと楽しそうな顔をした。何食ってんだ、と訊かれたが、 僕が何も口に入れていないことは知っているはずだった。 なんだなんだと思っている内に、 例の恐ろしい鞄から何かを取り出した。ササミだ、食え、 と言われた。 胸に押し付けられたので受け取る形になってしまったが、 文脈が読めない。憮然とするしかなく、 手許のササミとヒル魔さんの顔を比べて何度も往復する。
「視線が鬱陶しい」
「いや、あのこれは一体どういう」
「餌付け」
「えづけ……」
「僕のよりサイズが大きい」の語彙もうちょっと充実できんかね。 爪先のところが二センチ先へ伸びているとかさ、何とかしろや。
大丈夫かこれ。即席にしてはまあいけてると思うが、 深夜テンション入ってねえかな気掛かりだな。→いいと思う( 時差無し感想)