甘いのを見せろや!!
人の悪口はいってはならないらしい。 当人の影でそれを交わすのは以ての外、 当人を前にして言い放つのも無し。 あいつはこれこれこうだから嫌いだ、などと、 口に出すことはタブーである。らしい。 日記やSNSに書き起こすのも得策ではない。 顕したものは人目につく可能性を常に孕むからだ。
Aさんが、Bさんのことを、 宿題をせずに登校し毎度へらへらした調子で答えを写させろと手の 平を見せてくるのでムカつく、などいうことは、 愚痴ってはいけないのである。悪口は、悪いと自覚があるだけに、 弱みへの転換も早い。びくびくしたくないなら黙っているべきだ。
最近、好意を吐き出すのもよくないことを知る。十中八九、 話した自分が幻滅するから、自然とこの摂理に行き着く。 自分と他者が別の感性でものを見、 受け取っていることを思い知る。自分の興味と、 相手の興味はまず合致しない。それは早い段階で知っていたが、 すべての他者が、 自分の持っている好奇心と同じだけのそれを持ち得ないことは知ら なかった。自分の話をすれば、 同熱量の話を等価交換で聞き出せるというのは思い上がりであった 。笑い話で滑ったような無気力を味わいたくないので、 口を閉ざすのが保身だと結論した。 無闇に外部に晒して朽ちさせる愚行を働くのか? ということだ。大事なものなら飲み込むべし。 自分が気に入っているものを、 他人にどう評価されようとお気に入りから除外することはできない だろう。
だから、私は、他者が嫌いだ。
小説じゃねえよこれ