創作に人生さきとう思うんだ

二次創作ばっかしていたい。

暗中

ヒルセナって、なんだ?
 
家に着いて、玄関の戸に手を掛けたところで、記憶が飛んでいる。脳が痺れたような目覚めだった。平時の起床と異なる奇妙な感覚に、直感的に不快を抱く。いうなれば、睡眠薬で無理に眠らされた後の目覚めはこんな風かもしれない。
部屋は、暗かった。朝ではないと思った。自分の身体が転んでいる寝具の沈み具合や布の触感が、馴染んだ自室のそれとは違う。夜目が利いてくる。天井にほど近い高さに、小窓がはめ殺しになっており、そこだけがぼんやりと明るい。室内より明度が高いようだ。身体を動かせることに気付いたので、色々に顔の位置を変えると、三日月の浮いているのが発見された。
がしょ、と何かを嵌めるような音がした。人工物を操作する音だ。本能的に、危険を察知する。身をすくませて、恐る恐る視界を巡らせる。それらしい影は案外近くに立っていた。眼らしき、ふたつの光だけが浮かび上がっている。もしや人の形をしていないのかと疑った。自分はいつからファンタジーの世界に紛れたのかと、不安に駆られた。それもこの二つ目の何かが、壁とは別色の扉の前に立っていたからで、暗闇に沈んだ扉は黒々とした穴のように、人影など容易く隠していた。かつかつと床を叩く音で、その影が歩いていることがわかった。靴を履いているのだろう、一歩ごとに二つずつ聞こえる。
足音が止んだとき、僕の視界は殆どが黒塗りに覆われていた。辛うじて目の前の影が人の形をしていると判別できる程度の光量だった。小窓を背負って薄く縁取られた人影。その影が、起きたか、と喋るので、条件反射的に頷いた。すぐにここは暗くてよく見えないことを思い出す。はい、と口にした。
たまに荷物を右手から左手へ持ち替えているようだ。影の形が変わった。煙突然とした細長いものを携えている。がしょ、と言ったのはこれだと悟ったので必死で意識から外した。身のためを思ったのである。人影が再び何かを言った。名前のようだったが、聞き覚えがなかった。そう言えば、僕の記憶は足りないところがある。名前がわからないことに気付く。それを告げる、というより呟きに近かった、伝えると、ふうん、とだけ返された。僅かな月光を背中に浴びながら、逆光の表情が垣間見えた。吊り上がった双眸に、裂けるように弧を描く口許。白く尖った歯がやけに鮮明に焼き付いた。
「成功だな」
くくく、だか、けけけ、だかはっきりとしないが、不気味な笑い声と共に肩を震わせ、その人影は僕の隣に腰を下ろした。動揺した。
 
 
ヤンデレになったんですが、これヒルセナですか? この後だと? 考えてねえが。照明点けて飯食えばいいんじゃないの。
そうだ、「向こう四十年分の顔写真は作ってある(年賀状用)から親は捜索願いを出さない」などという外堀を埋めた発言を考えていたなあ。大丈夫なわけない思考。これどーすんの、お蔵なの。