またなのか? 卸し立てのワイヤレスイヤホンを耳に突き刺したまま思う。
ただなあ。見えない空を仰ぐ。 常夜灯の橙でぼんやりと明るい天井と目が合う。 不運はこの天井の向こうからくるんだよな。 いまインターネットの接続が不安定なのも不運の一種だと気付けた ならば、来る大殺界に備えて行動する機を得たことになる。 自力で解決できることは不運とは呼ばない。私は、 インターネットを体内から絞り出すべきなんだ。 大好きだという言葉で、自分の中毒症状、依存状態、洗脳、 奴隷化されている事実を虚構と信じるあどけなさ、愚かさ、 花畑はそこにはねえのだ。家から出ろ。歩け。
と、正論と思しき述に動じるならこんなことは書いていない。 今度また、 インターネットがなければ日々がままならないことを考えた。 プロバイダが勝手に死ぬことは予想していなかった。そうか、 地震だってそうだもんな。 それを殺して自分が死ぬなら悔いはないと思い切れる対象は、 天井の向こうにいるのだ。そうだった、そうだった。 中学の時体の芯が震える怖さを覚えたのは、 地震を殺すことができないからだった。 私は天井に隠されて見えない何かに殺されるのだ。 貫通する電磁波を見ることができないこの目では、 たとえインターネット回線で細胞を焼かれていても安穏と首の後ろ で腕を回していられる。ははは、蛙を水から茹でれば、 致死の温度になっても湯から出ないという。 全身を見えない光線で超温に焼かれて、 黒焦げになって死ねるならそれがいいさ。 最期にインターネットを飢餓して死ぬよりは。
支離滅裂でなんとやら。文化人の真似をして、 小説読んで眠りますか