創作に人生さきとう思うんだ

二次創作ばっかしていたい。

盛る

着地した足元を狙って、地面から矢が突き出す。踏み込みの甘い飛翔を強いられ、低空で数瞬留まったのを隙と、前方から斬撃。弾幕を張って攻撃してくるが、個々は落ち葉である。垂直方向から大風を吹かせば、半分は舞い落ちた。間隙を縫って詰め寄り、懐に入って一気に片をつける。


フーフーと荒い息をしている。普段動かない者が、自分に挑む度胸は買うが、無謀といって差し支えなかった。毎度必ず負けているのに、こんなことで精神が安楽するというのは本当だろうか。本当だとして、健康的な意味だろうか。自分に負ける悔しみを使って安定しているのじゃあるまいか。意地を張って、体を倒さないで疲労に対峙している険しい顔を見下ろす。尻を地面に着けているから、相当の疲れであろう。
たまに、苛々するんだよ。お前が他人の手を借りて、ストレス発散していると思うと。自分はしないでいることを、よくもやってのける。それも何度も。「お前もやれば」と言うだろう、百も承知だ。そんな言葉を掛けられたら、増々やれなくなるだろう。自覚がある。意地を張るからだ。
「喉が渇いただろう。持ってこよう」
「ありがとう。助かる」
座り込むそいつに背を向ける。水飲み場で噴水の様に上げた水をペットボトルに溜めて渡したいところだったが、空のペットボトルを持っていない。毒でも仕込んでやりたかった。腹でどんな黒いことを考えていても構わないが、表向きはつるっとした人当たりのよいことばかり言う八方美人を思わせる態度にむかっ腹が立つ。ありがとうとも、助かるとも思っていない癖に。運動不足解消の役に立ったぜ。ぼっちだから昼休みの過ごし方悩むんだよなあ。無性に人を傷付けたくなるんだ。俺の葉っぱカッターの餌食になってくれるか? …どれでもいい。所詮自分は駒というわけだ。自販機のボタンを押す。屈んでペットボトルを手に取り、ラベルを見てはっとする。うっかり爽健美茶を買っている。おしるこにすれば良かったのに、と悔やんだ。仕方なくではあるが、爽健美茶を渡すと、やはり、毒のない謝意を口にした。唾を吐きたいのを我慢した。
 
 
なんでこんなに不機嫌なのに付き合っとんだ? 暇なんかよ