創作に人生さきとう思うんだ

二次創作ばっかしていたい。

名無し

ギターを持ったら似合うだろうなあと耽美した。どんな小物も、衣装も、身につければしっくりとそこに収まって存在の魅力を引き立てるだろう。俺の思考が偏っているせいもある。好きなやつなら何を持ってもイケている。何をやっても目を引く。様々のファッションチェンジを見たい。見られればいい。そんな、いい加減なところで歯止めをかけている。否、というよりも、無性に理性的でなくてはいられない。そうでなくてはやっていられなくなってしまった。どんな境遇でもため息の隙間を見つけられるものだ。最も幸せな瞬間に飛びたくて顔を覆う。ため息が掌にぶつかる。

ちょっとギターを構えてよ、なんて、言えるわけがない。言えなかったから発露した数々の熱量の扱いを、地味に気に入り使い回している。俺の脳内には偶像化されて何でもしてくれる理想が完成している。今更現実と対比して認識を擦り合わせるその労力にげんなりし、想像だに煩わしいといって逃げる。逃げている。それは知っている。でも、駄目か?

「うーん」

「うるせえな…。手ぇ動かせよ」

「なあ、ギター構えて立ってくれ」

「買ってくれたらやってやる」

そして俺と向かい合って宿題に掛かっていた奴はギターを手にし、素人目にも脅威の速度で腕を上げた。学力は下がった。俺より僅かに上を行っていた成績は大きく落ち込んだ。

いつの日かちゃっかり調査されていた俺の好きな曲を弾き終わり、余韻に浸っているように見える。

「すげえ」

すげえと思った。技術の無い素人で済まないとも思った。わかればもっと話せるだろうに。

「うん」

俺にギターを教えてほしいと言ってしまうか迷った。決めあぐねて言葉を何度も飲み込む格好は挙動不審だったに違いないが、奴は何も言わず待っているようだった。教えてくれと頼めば二つ返事で請け合うだろうと信じていながら躊躇したのは、成績が急降下したのを見ていたからだった。一緒に落ちようぜと言うところは、想像できなかった。

「…頑張りすぎ」

「……まあ」

俺の頭の偶像が、コードを押さえる指遣いに腐心している。別の場所で、真剣な顔をしてリズムを取るのは、偶像ではなく奴だった。俺の脳内で再生されている。

 

 

矢印が多方向にあるのは好きくありません。お前は転向しろ。