創作に人生さきとう思うんだ

二次創作ばっかしていたい。

「賛成の意見を述べる」

小説リハビリです。創作を目的に生きることが、私にとって快活を見出すための唯一の知識なのです。

 

相手が何を考えているかなんて、生まれてから今まで数え切れないほど言葉を交わした経験を持つ私にも、わかった試しがない。こう言うと、はんと鼻を鳴らして、お前程度の経験値で語るなと睥睨されるのは想定済みで、現にその構図ができている。私はいそいそと毛布へ潜り、これから己の人肌で温める予定の床に横たわる。無視をするなと口を尖らす声が聞こえた。

「褒められたときにさ、嬉しい、を素直に顔に出したら子供扱いされる傾向にあるよね」

トイレに行きたいかも、と文脈を弁えない発言は無視する。無視を重ねたおかげで、じんわりと不機嫌そうな気配が感じ取れなくも、ない…。思考が一段落ついたらトイレに行こう。

「人は、褒められると嬉しいか?」

「お前は嬉しくないのか?」

「人は、嬉しいことより嫌なことの方が顔に出やすいか?」

「ところで最近嬉しいこと何かあったか?」

「人は、誰かがぎこちなくとも褒めると喜べるか?」

「世辞だと思うんだろ、お前は」

私は右肩を下にして、横を向いた。羽毛布団がぐしゃぐしゃと音を立てる。随分寒くなってきた。間もなく冬が来るだろう。そして年末。常夜灯を点けない部屋の角から、拭えない日々の澱が見ている。積もり積もって一年分の、清浄を忘れた私の心。

今年一年、私はなんにもしていない!

堪らず上半身を起こした。続けて頭を掻きむしる。一体、無目的無目標無達成無努力無苦痛のなにが記憶に残るのか。虚ろだ。褒めちぎって挽回しようか。

「明日も勉強はする」

誰にともなく宣言を放つ。言ったそばから気力が失われる自分の質を実感しながら、それでも明日も習慣を絶やさないことを誓う。私は妹の学年順位を上げたいわけじゃない。それは私の成績にはならないし、数値で表される結果に翻弄される切なさを知っているから、できればあまり見たくないのだ。関わりたくない。妹の中学の習熟度など、私は興味がない。

「さて、私は何が楽しくて、妹の宿題を見ているのか」

「妹の先を思っているから」

「気持ち悪い。私に重責を負わせるな。私はお人好しじゃない、違う、偶然退屈を紛らす方法がそれだっただけ」

「考えれば理解できる妹に期待を感じているんだろう。褒めてこい」

「褒め方がわからない」

私は勢いよく布団を被った。顔まで隠して縮こまった。妹が学年順位を二桁にすることができたなら、スマホを買い与えるという親との取引を思いだす。不純な動機だ。私としては全く気に食わない。冷静に考えれば台パンして、勉強の面白さがわからねえバカは一生バカやってろ、と言い捨てて引き篭もってもおかしくない。

「おい、なにニヤついてる」

「隠してるだろ。見るな」

五分後くらいにトイレに行った。トイレットペーパーを巻き取りながら首を傾げたが、よく考えてみると、これといって褒められる要素が無さそうだぞと問題にぶちあたる。

貴方は、私が貴方の年齢だったときより習熟度が浅いですが、貴方のもう一人の姉よりはできます。丁寧に、間違えた問題は重点的に、正解した問題もまんべんなく、解説を読むことを徹底してください。それでテストの点が取れなかったら私を罵って構わない。です。

…と、言ってみようか? 彼女は褒められたと感じて嬉しい顔を見せるだろうか?