創作に人生さきとう思うんだ

二次創作ばっかしていたい。

みかん 露仗

明日から形勢整える。BGM付小説書きはもうしない。

 

これおいしいのか、と露伴は疑問した。声に出して問うたので、聞いていた相手から答えがやって来る。さも自信があるらしい。にやりとして、健全な笑顔を見せてくれる。笑顔の持ち主は、おいしいに決まってるじゃないすか、と袋の口を開き、中から橙の丸い実を掴んで二つ取り出し、内一つを露伴へ向けた。露伴が躊躇の態度で応じたため、その果実は彼の前につつがなく静座させられた。

「お前はみかんの美味い不味いを見分ける能力でもあるのか」

「ねえよ。分かったら得っすけどねー」

「なら何故これは断言出来るんだよ」

「ふふん、なにせおいしいって書いてあるし、それに…」

仗助は先程の健全なにやにや顔を再び持ち上げて、まだいくつかみかんの入っている袋を露伴の眼前に提示する。視界に映るよう配慮する仕草があったが、それは商品ラベルを見せるためだったと分かる。そこには、おいしいの句が語られている。オイシイミカン。脳が読み取った文字列を飲み込む。その直後咄嗟に浮かんだのは、胡散臭え、という感想だった。真に受けて本気にする馬鹿がいるとは。おいしいと謳うのは、買うだけ買わせて金を落として行くのを腹黒に見送るビジネスの定型モデルじゃあないのか。大概嘘なんだよ。全く馬鹿な奴だな…。

「それにな、これきっとみかんの上位種だぜ。ミツカンって初めて見たけど蜜って字入ってるから只のみかんじゃあないぜ」

「おいおい…それをみかんって読むんだよ」

「えっ」

「ん、悪くないな。売り文句が正常なのは腹立たしくもあるが、この蜜柑は確かにおいしい」

ミツカンと書いてみかん…」