創作に人生さきとう思うんだ

二次創作ばっかしていたい。

セイメイ 露仗

ふふふふ…、アハアハ…。朝から拍子もわからぬ調子で露伴が笑って已まない。病的でさえある。黙って見守っていたが、そろそろ口を挟んでも良いだろうか。我慢の限界と似たもの、不安の高潮が歯止めを求めて騒いでいる。仗助は恐怖していた。とは言うが心底怯えきっているのではなかった。露伴の奴、またおかしくなったな、と半分は呆然としていた。残りの半分を、常識の域を飛び出した勢いを殺さねば取り返しのつかない事態を引き起こす予見への心配に当てていた。

「こえーっすよ、そんなに笑って」

「アハハ、フフフハ…、飲酒はしてないぜ」

「……」

仗助は目を逸らした。どうやら聴取は出来ないと悟った。のけ反って笑う露伴にかかずらうのは止めにして、テーブルに顎を乗せる。こたつの中は温かかった。露伴が笑い暴れる度に、膝を硬くぶつける音が鈍く鳴った。

 

ヒイヒイと肩で息をして、目尻を指先で拭いながら、露伴が静かになった。仗助は蜜柑を剥いていた。一切れそっと寄越してみれば、当然のように受け取って口へ入れた。嚥下するが早いか、甘い、と低く唸った。もう一度一切れ配ってみたが、もう要らないと断られる。仗助は残りを適当な大きさに割り裂いて、一人で平らげた。まあ、甘かった。しかし彼にとっては文句が出るほど気になる点では無かった。

「今日は最高の日だな! 隕石が降って地球が終わりを迎えても構わないくらい気分が良い。…構わないどころか積極的に終わらせに来てほしい」

「…アンタって意外とそんな刹那的、っつーか…破滅願望みたいのあるんすね」

「明日無き者のように日々を捉え、不死の者のように学ぶ姿勢を崩さない。人として当然の態度だろ。今日死んでもいいと断言できる生き方をしろ!」

溌剌と語ってにこにこしている。不穏を散漫させる話題を展開した本人は至って上機嫌で何よりである。仗助は極端の感情が同時に立ち起こるのを感じた。目前に実存している生命力の漲る姿は、全生の結末である死滅を反射して輝いているのか。死を思うから、生は尊く気高く得難き宝の如く視界に煌めく。のか? どうにも曇天や煤の飛ぶ空や彩度の低い景色が目に浮かぶ。この不穏は何なのか。仗助は新しい蜜柑を一つ取り上げて、露伴に手渡した。不思議そうな、不愉快そうな顔をしたが、彼は何も言い出さなかった。

尚も憮然として俺を見ているが、俺にも不思議だから、その物問い顔を止めてほしい。