創作に人生さきとう思うんだ

二次創作ばっかしていたい。

プロ 露仗

プロ意識だけで形骸した手を動かして露仗。

 

あいつが心なしか苦痛を帯びて、机に向かう、ペンを執るから、マゾヒストな野郎だと漠然に感想した。その時は単にそう思っただけだったから、揶揄おうとも気にかけようともしなかった。捉え方が違うんだよな、面倒に感じた、なんてものは些細な邪心と無視をして、ケツを叩いて強いても、自尊を損なうどころかより輝くのがあの種の生物なのだろう。畑違いの他作農家。下手な口は出せなかった。

 

夜に目が覚めると言って愚痴り出した。普段と変わらぬ時刻に就寝していると言える範疇で、定型化された生活の下にあって、不遜に睡魔の様がおかしいと。夢は滅多に見ないのにこれを頻繁に見せられるとか、月の高い内に目が覚めた日には、二度寝するために悶々と苦悩を募らせるなど、不眠の兆しか、最早不眠そのものか、離れていかない敵襲と対峙し摩耗しているのであった。奴はやつれた欠伸をする。夢は覚醒時に幾らでも描けるから寝ている間は出しゃばるなと言った。偉ぶった発言は懇願に滲んでいた。

 

目の下にどす黒い隈を抱えて、懲りずに今日も、その手がインクとペンを操って、紙面に広大な界感を描くのを日課と言って強行しようとしている。腕を引いて、それでも足りなくて胴体を掴み、最後には羽交い締めにしながら移動を阻む。今夜は、今夜だけは休むべきだと口を極めても、相手は堅い鎧を着込んで居るが如く心を動じない。その様は何千年も最高峰を冠するヒマラヤ山脈に比肩しようとする片鱗さえある。

一日足りとも欠かしては駄目なのだと、自分自身に説いているのかもしれない。厳かに復唱し、二人分の体を引きずり机を目指す。亡者かと思えた。俺は悲しくなって、何がどう悲しいのか分からないが、兎に角、露伴の体を解放してやった。

夢遊の体で椅子の背もたれに取り縋る。引き下げて、ようよう腰を預けると、息もつかずに執筆に没頭しようとする。素晴らしいプロ意識ってやつだった。憎くてぶん殴りたくなるくらいの。

 

・どんな山脈も海溝も、(滅茶苦茶)時間を掛ければ地形が変わるから。露が絆される可能性は零じゃあないんだぜ