創作に人生さきとう思うんだ

二次創作ばっかしていたい。

にこいち(仗露)

見過ごせない小さな不安に駆られる仗と、それを知ってか知らずかマイペースを貫く露2022/5/15

 

 本人いわく、常に全方向にアンテナを張るから得たい知識や体験が渋滞を起こしている。それを長引かせないためには回転の速さが必須でありひとつのことに延々執心しているわけにはいかないと。

俺もいつか、もういいよと宣告されるのだろうか。

 

 並んで歩きながら、ちらちらと露伴を盗み見る。夏がその色を増す過渡期にある今日、青い風となびく緑を見回して落ち着きがない。いつもの露伴だ。勝手に着いてきた俺には当然目もくれず、マイペースにどんどん進んで行く。

頭の中のあの不安がぐるぐると留まっているせいで、活き活きしているアイツの姿が遠いものに感じる。

 

 聞いてみようか、と何度も考えた。俺にもいつか見切りをつけて、もう要らないと終わりを示す日が来るのかと、喉までせり上げた問い。イエスかノーで片付けられてしまうのが怖ろしく、いつも嚥下した。昨日まで雨が降っていた。空は濁った色をしていて、何だか苦しい。

 

「そこのオーソンでアイスでも買ってこいよ」

ふいに声を掛けられて我に返る。露伴が、そろそろお前が駄々こねる頃だろう、と親指を立てて背後の建物を指す。そこは俺が露伴を引っ張ってデートとは名ばかりの散歩…いやデート、をする際毎回のように寄るコンビニだった。寄る度にアイスか菓子か飲料を買って出てくる俺を呆れた目で見ていたが、覚えていてくれたのか。

「勿論、自分の金で買えよ」

「へーへー、わーってるって」

 

 

 この街は空が広い。特別高いビル群が空を分断することもなく、山がそびえて空を囲うこともなく、開けている。端の方から晴れを覗かせる白い雲が流れている。

自動ドアの開閉音がして、見れば案の定、こいつだった。胸の前に下げた袋を覗き込んでご機嫌らしい。何を買ったかは知らんが、変な味の新商品でも見つけたんだろう。

「もう少し遅かったら、あの雲追っかけてあっちへ行っていたぜ」

フンと鼻で笑ってやると、奴は、_仗助は_大袈裟に危ねーと言って胸を撫で下ろした。マジで行っちまうと思っているのか? そう思っているなら馬鹿なやつだ。貴様のために、待ってたんだぜ。

 

「お前、アイスばっか買うよなァ」

「へへ、買い食いっつったらアイスでしょ。溶ける前に食わなきゃだし」

「もっともらしいことを言いやがる」

あざーす、と調子のいいことを言うので、褒め言葉じゃねぇよと睨むも、これが効いた様子はない。仗助は袋をがさがさとまさぐり、やがて目当ての物を掴んで見せた。

もしかしなくてもアイスだ。

「ふたりで分けるヤツっスよー」

嬉々として開封する横顔を眺めて、思う。こいつ、………………面白いな。